男性教員の育休取得 Vol. 2 ~メリット・デメリット~

育休を取ってよかったこと

①感動!!娘が◯◯した瞬間を見ることができた

  • 娘が初めて発した言葉は「パパ」
  • 娘が笑顔になる場所やものを知っている
  • 娘がずり這いをした瞬間
  • 娘がつかまり立ちをした瞬間
  • 娘が初めてご飯を食べる瞬間
  • 絵本を読んだ時の反応
  • いないいないばあをした時の最高の笑顔
  • 何か見たり、聞いたり、触った時の反応が楽しい 

他にも、生後5ヶ月が過ぎた頃、離乳食を与えるようになり、色々な食材を試していきます。

その時の娘の表情がたまりません。

にがそうな顔、おいしそうな顔など、食材や日ごとに違う顔を見せてくれます。

毎日一緒にいるからこそ、こうした瞬間を見ることができると思います。

日々、感動の連続です。

これからもどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。

②余白の時間が取れる!

5年間ノンストップで働いてきた自分にとって、「余白の時間が取れる」のはとても新鮮でありがたいことです。

今までは、ゆっくり考える時間がなく、自分を客観的に見つめ直したり、自分の考えを整理したりすることができませんでした。

考えることは好きでしたが、多くは、「明日の算数の授業どうしようかな」や「職員会議の提案どうしようかな」、「子供の作文に何って返そうか」など学校のことで私の頭の中はいっぱいになっていました。

よく教師の仕事は、公私混同と言いますが、休みの日も学校のことばかり考え、行動していました。

一方で、育休中は、学校のことを全く考えなくてもよく、自然と自分自身の内省の時間になったり、自分自身の経験を言語化したりすることができます。

さらに、自分が教員として過ごしてきた5年間の経験を振り返る中で、「学校」を客観的に見つめ直すことができ、当たり前のようにやっていたことの意味や目的を考えることができました。

余白の時間が取れたことで、SNSで繋がって教育について語り合ったり、他県の先生とお話しをしたりすることもでき、視野が広がりました。

そんな我が家も初めは、1 + 1=2にならないこともありました。

お互いにやりたいことが空回りし、仕事と育児の両立をしたい妻とせっかくの休暇で育児以外にもやりたいことが湧き上がる私、うまくいかないこともありました。

そこで、何度も話し合い、妻と毎日の予定を確認して、「この時間は僕が見るので、この時間はお願い。」などコミュニケーションを取ったり、アプリで予定を共有したりしていくなどの工夫をしました。

お互いが1人になる時間を意識して作るようにし、こうして作られた時間で私は、自分が働いていた時にはできなかったことをさせてもらっています。

そんな中でも、食事の時間は、3人が揃うようにしています。お互いがやりたいことをやれないやり、ストレスにならないように話し合いをしていくことは、復帰後の生活にも生かしていきたいと思います。

③家族との時間ができる!

今までは、土日も学校に出勤することがあり、なかなか家族で遊びにいくことができませんでしたが、今では、毎月旅行に行くことができています。

妻の実家(北海道)に長期的に帰省することもできました。

自分が育児をしている姿を妻の親に見てもらい、安心してもらうことができました。

平日の落ち着いた公園やレジャー施設にもいくことができ、幸せな時間を過ごすことができます。

育休のデメリット

残念ながら、メリットばかりではありません。

人と話す回数が減る

私は、昨年度5年生38名の担任をしていました。

同僚の先生や保護者など毎日最低50人の人と話をする生活をしていました。

しかし、育休中は、妻と言葉の通じない娘の2人しかコミュニケーションを取らない日もあります。

最初は気になりませんでしたが、3ヶ月たった今、一番感じている大きな変化です。

たまに、学校の子供たちや同僚の先生と話したいと思うこともあります。

メリットのところにも書きましたが、育休中の出来事や自分が考えたことなどをSNSで発信したり、色々な人とオンラインで繋がったりすることで解消しようと努めています。

これはこれで、様々なバックグラウンドの人と話をすることができ、視野が広がります。

育休の取得を考える人へ 育休に入るマインドを作るために

育休を取得することに関してのハードルは高いと思います。

まず、職場の理解が必要です。次に、パートナーの理解も必要です。でも何より、自分の価値観や考え方をアップデートすることが一番大切だと考えます。

「父親は金を稼いで家族を養うべきだ」や「家事、育児は妻がやるものだ」といった考えを改めていくことで、主体的に育休を取ることができると思います。

私も、知っている人で男性の育休を取っている人がいなかったため、育休を取ったら周りからどう思われるのか気になっていました。

そこで、育休を後押しした言葉を紹介します。

  1. 「私は管理職として、学校や学級の問題は解決できるけど、あなたの家庭の問題を解決できないから、自信を持って取って下さい。」と管理職の先生から言われたこと。
  2. 「学校に通ってくる児童や生徒の担任の代わりはいっぱいいるけど、自分の娘のお父さんはあなたしかいない!」と知り合いの先生に言われたこと。
  3. 「父親の育児参加により、子供の認知能力や非認知能力にポジティブな影響がある。」という研究結果があるという記事を読んだこと。

育休を経て、私が目指すところ

私は、育休中の内省により、学校の在り方や自分自身の生き方を客観的に見つめ直すことができました。

現在の学校の課題として、次の2つを考えました。

①働かせ放題の働き方を「育休」で変えていく!そして「教育」を変えていく!

学校現場では、時代の変化と共に「プログラミング教育」や「キャリアパスポート」なども加わり、仕事の量が多くなってきました。

一方で、やらなくて良くなったものはあまりなく、やることが「足し算」のように増えていっています。

教員が、考える間も与えずにどんどん仕事が詰め込まれ、余裕がなくなっていきます。

そうなると、学級は荒れ、もっと余裕がなくなっていきます。

私自身、教員として一番やりたかったことは「子供たちがワクワクするような授業をすること」だったのに、教材研究の時間が取れず、仕事を淡々とこなしていくことが一番だと諦めの境地に至ることもありました。

また、育児中だと、家に帰って仕事をすることができなかったり、どうしても早く帰らなければならなかったりします。

定時退勤ができるような雰囲気や業務量にならないと、これから子供を育てながら教員をする方にとって厳しく、これからの未来はないと感じてしまいます。 

「教員不足という時代に育休を取るなんて」という意見もあると思いますが、育休こそが教員の素質を高め、人として成長する良いきっかけになると考えます。

私は、育休を取る男性の教員が少しでも増えると、教員の余裕が生まれるだけでなく、育休後の教員の資質向上に繋がると思います。

今、学校の教員には余裕がありません。それを解決するための一つの方法として育休を提案したいです。

これからは、育休後に成長した教員が学校教育に良い影響を与え、巡り巡って子供にも還元するといった、好循環が生まれるような世の中を目指し、支援していきたいです。

②学校の中にコーチングを取り入れる

私は、育休の時間を利用して、「コーチング」を学んでいます。

学校では、ティーチングをして人を外から指導し、子供の変化を促しています。

一方で、コーチングは子供の内面に注目して、子供が好奇心をもつものやワクワクすることを大切にして、そこを伸ばしていくことがこれからの時代を生きる人にとって大切なのではないかと考えます。

子供の中にあるワクワクする想いを引き出し、主体的に生きていく人が増えていくように育休中の学びを生かしていきたいです。

最後に、育休は、子供やお母さんのためだけではなく、お父さんのためにとってプラスになることがたくさんあり、自分の価値観や視野を広げる、海外留学のようなものだと感じています。

育休を取って、余裕があり、成長できる日々を送りましょう。

池田文子・元小学校教員
乳児の子育てはどうしても孤独になりがちです。そんなときに、パートナーがそばにいてくれたらどれだけ頼もしいでしょうか。また、育休取得男性が増え、子育てはみんなで協力してやっていくものだという考えが浸透していったら、女性の社会復帰にとってどれだけ心強いでしょうか。子育てはとても楽しい経験である一方で、多くの母親が、キャリアがストップしてしまう怖さや、大事な仕事を前に頭を下げて休みをとらなければならない心苦しさを抱えながら働いています。多くの男性が育休を取得し、子育ての楽しさも大変さも理解してくれる人が職場に増えたら、ずっと働きやすくなる気がします。男性の育休取得が、古い考えをアップデートし、男性にとっても女性にとってもより働きやすく子育てしやすい社会に変わるきっかけになることを願っています。
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