みなさんは大人になってからどんな「学び」の経験がありますか。
仕事をしながらや、子育てをしながらだとなおのこと、たとえ学びたい気持ちがあったとしても時間や余裕がないという声が聞こえてきそうです。
私は二児の母で公立中学校に勤務していた元教員です。
産育休期間に私がしてきた「学び」の経験から考えたことをお伝えします。
主に出産前と復帰前1年の期間に、食育に関する資格やボールペン習字講座、教育雑誌の定期購読、特別支援学校2種(知的)免許取得のための学習をしました。
では、復帰前の子育てと並行しての期間に学習時間をどのように捻出していたのでしょうか。
もちろん、子どもたちが起きて活動している時間に学習することは不可能です。
私の場合は1日に3回(①朝、子どもたちがまだ寝ている時間。②下の子のお昼寝時間。③夜、子どもたちが寝た後の時間。)の学習チャンスを見つけました。
加えて夫や義母の協力が得られた時間を使いました。
その中で満足度の高いものとなったのが朝の時間です。頭がすっきりしていて集中できます。
早起きが大の苦手だった私ですが、朝が自分へのご褒美タイムになったこともあり、早起きの習慣をつけることもできました。
昨今、「育休中の学び直し(リスキリング)を後押しする」というような岸田首相の発言が話題になり、後日、「ライフステージのあらゆる場面で本人が希望する際にはリスキリングに取り組める環境整備をしていくという趣旨」だったと説明し直すということがありました。
一般的な育休期間である産後1年の間にスキルアップを課すのはあまりにも乱暴なことだと私は思います。
その期間は本当に手がかかりますし、母親自身の体の回復のためにも休めるときには休むことが必要です。
教職員の育児休業は、ありがたいことに子が満3歳に達するまでと定められており、私はその権利をフルに取得することができました。
そのおかげで最後の1年に自分のための時間を生み出すことが叶いました。
育休中のスキルアップに関しては、母子ともに心身の健康を最優先にしたうえで、母親が笑顔でいられることを大切にして取り組まれるべきものだと考えます。
職場から強制されるのはもってのほかですし、周囲の理解や協力が得られないのであれば自分を苦しめることになってしまう可能性もあります。
体調や環境が整っているかを判断して、自分のペースで取り組むものであってほしいと思います。
育児をしていると、子どものため家族のために自分の時間を犠牲にしてしまうのが母親だと思います。
私も自分の感情に蓋をし続けた結果、育休中に心のバランスを崩してしまったことがありました。
そんな時に、1日にわずかな時間でも自分の時間が取れることは、心の安定に繋がります。
人間にとって、「学ぶ」ことは楽しいことです。
新しい知識を得たり、それらを実践したりすることで得られるワクワク感。
自分自身の成長を実感する喜び。
学ぶことで、自分が満たされるのと同時に、自分と関わる人によりよく還元できることもあり、家族との関係や仕事面においてもやりがいにつながるのだと思います。
私は食育の講座を受けたことで子どもの離乳食に使う食材に旬のものを選べだり、目利きができるようになったりしました。
また、特別支援教育を学んだことで、復帰後に様々なタイプの生徒に対して、個別の支援方法が以前より明確に判断できるようになりました。
年齢に関係なく、いくつになっても大人が楽しく「学ぶ」姿を子どもたちにも見せていきたいものですね。