育児休業中のスキルアップ

育休中に学んだこと

私は公立中学校に勤務していた元教員です。

産休〜育休期間を振り返ると、いろいろな「学び」の時間になっていたことに気づいたので、私の経験をお伝えしたいと思います。

はじめに、いったいどんな「学び」をしてきたのかについて、簡単に紹介します。

時期学んだこと動機
第一子の産前休暇に入ってから出産までの間(①)「食育実践プランナー」の資格
(通信教育)
生きる上で「食」は必要不可欠なもの。自分や家族のために「食」の基礎知識を得たかった。離乳食や幼児食を作る立場として生かしたいと思った。
第二子出産を経て、仕事復帰の1年前(第一子4~5歳、 第二子1~2歳の年)(②)特別支援学校2種(知的)という教員免許を取得
(半年ほどかけて放送大学で学んだ。)
普通学級にも個別に支援を要する子どもが一定数在籍している。その子どもたちへの配慮や、その他の生徒にとっての学びやすさにもつながると考えた。
第二子育休期間
最後の半年~
復帰後数か月(②)
ボールペン習字講座(通信教育)国語科の教員として、板書(黒板に書く文字のこと)をきれいに書けるようになりたかった。
その他育休中全般教育雑誌を定期購読
(「国語教育」や「道徳教育」の雑誌)
復帰に向けて、授業のヒントになる実践や教材研究についての情報を得るため。
育休中全般読書
(図書館で子どもの絵本を借りるついでに自分が興味のある本も借りる。)
教養の幅を広げるため。
趣味でもある。

このように、すべてが自分の時間だった第一子出産前の時間(①)と、子育てしながらではあるものの、下の子の授乳期も終わり仕事復帰に向けて動き出した育休最後の1年間(②)には、自分や家族の生活に生かせる学びや、仕事に直結する学びをすることができました。

育休中のタイムマネジメント~学習時間の捻出~

最初に挙げたように、育休期間に費用がかかるような「学び」をしてきた私ですが、子育てと並行してどのように学習時間を確保していたのか振り返ってみました。

第一子出産前の産休期間については、妊娠の経過が良好で生活に特別な制限もなかったので、自分の好きな時間に好きなだけ学習することができました。(前出①の頃)

しかし、子どもが生まれると自分のことは後回しになり、赤ちゃんを中心に生活が回り始めます。産後1年は母体の回復のためにも重要なときなので、その期間に何か新しいことを始めようという気持ちになることはありませんでした。

月日は流れ、第二子が1歳半を過ぎたころ、仕事復帰のことを考える時間が増えました。(前出②の頃)そして自分の時間が欲しいという感情が湧いてきたのもこの頃でした。

そうは言っても1歳児と4歳児。どちらもまだ目が離せない年齢です。

子どもたちが起きて活動している時間に学習することはほぼ不可能でした。

それでも、1日1時間程は自分の学習のために時間を充てられるようにしたいと思っていました。

そこで、1日の生活の中で自分の時間として使える時間はどこだろう?と考えた結果、私の場合は大きく分けて1日に3回の学習チャンスがあるという結論に至りました。

① 朝、子どもたちがまだ寝ている時間(午前5時~6時くらいの時間帯)

 仕事復帰に向けた早起きの練習も兼ねて生み出された時間。
 生まれて30年以上、早起きは苦手だと思って生きてきた私でしたが、
 それは思い込みだったことに気づかされました。朝の時間、素晴らしい!
 この時間が一番はかどります。静かだし、頭もスッキリしています。

② 下の子のお昼寝時間(12時半~13時半くらいの時間帯)

 上の子が幼稚園に行っている9時〜14時は下の子と二人で過ごします。
 下の子は昼食後お昼寝タイムがあったので、うまくいけば上の子のお迎えまでに
 1時間ほど自分の時間が取れることもありました。
 ※うまくいかないことの方が多い。そもそも寝なかったり、一緒に寝てしまったりします。

③ 夜、子どもたちが寝た後の時間(21時~22時くらいの時間帯)

 一緒に寝落ちすることも多々ありましたが、元気が残っているときは
 1時間ほど学習できます。テレビをイヤホンで聞いてくれた夫にも感謝です。
 ※夜は疲れているので効率はよくありません。

上記に加え、近くに住む義母が時々下の子を見ていてくれたので、日中に課題に取り組める日もありました。休日には夫が子どもたちと遊んでいる間に学習を進めることもできました。

朝活のすすめ

私のおすすめは朝の時間です。朝の時間が活用できるようになって、生活に対する自分自身の満足度が上がったと感じています。朝の時間は、自分へのご褒美タイムになりました。

早起きが苦手な方もたくさんいらっしゃると思います。私もその一人でした。若いころはそもそも低血圧で朝起き上がるまでに時間を要しました。理由は定かではありませんが、様々な生活の変化により体質改善が図られたのか、今では得意なこととして早起きを挙げることができます。

もし、これから朝の時間を活用したいと考えている方がいらっしゃいましたら、朝を「自分にとって心地よい特別な時間」という位置づけにすることから始めてみてください。

きっと早起きが楽しみになりますよ。

(例)
●15分でもいいから家族よりも早起きをして、挽きたてのコーヒーを味わう時間にする
●アロマキャンドルを焚いて香りに癒されながら読書をする
●録画したドラマを見る

※体質上、朝型の人、夜型の人がいますので、自分の体に合った方法を取り入れていけばよいと思います。

育休中のスキルアップ(学び)は自分のペースで

私の場合、育休中とはいえ下の子も2歳になるタイミングでしたので、0歳児や1歳児との生活よりは自分自身の慣れもあり余裕があったこと、加えて夫や義母など、周囲の人の協力を得られたことにより学習できたということを申し添えます。

また、育児をしていると子どものため、家族のために、自分の時間を犠牲にしてしまうのが母親だと思います。私も自分の感情に蓋をし続けた結果、育休中に心のバランスを崩してしまったことがありました。

そんな時に、1日に短い時間であっても自分の時間が取れるのは、心の安定のためにも必要なことでした。

昨今、育休中の学び直し(リスキリング)を後押しする……というような岸田首相の発言が話題になり、後日、「ライフステージのあらゆる場面で本人が希望する際にはリスキリングに取り組める環境整備をしていくという趣旨」だったと説明し直すということがありました。

一般的な育休期間である産後1年の間にスキルアップを課すのはあまりにも乱暴なことだと私は思います。

その期間は本当に手がかかりますし、母親自身の体の回復のためにも休めるときには休むことが必要な期間です。

教職員の育児休業は、ありがたいことに子が満3歳に達するまでと定められており、私はその権利をフルに行使させてもらいました。そのおかげで最後の1年に自分のための時間を生み出すことが叶いました。

育休中のスキルアップに関しては、母子ともに心身の健康を最優先にしたうえで、母親が笑顔でいられることを大切にして取り組まれるべきものだと考えます。

職場から強制されるのはもってのほかですし、周囲の理解や協力が得られないのであれば自分を苦しめることになってしまう可能性もあります。

体調や環境が整っているかを判断して、自分のペースで取り組むものであってほしいと思います。

おわりに 

子育てに共通する特別支援教育の考え方

特別支援教育の勉強をして、学校での指導だけでなく子育て全般にも共通する考え方がいくつかありましたので、その中から2つ紹介します。

1 その人(子)の苦手なこと(=制約)のみに目を向けることなく、その人(子)ができそうなことやできつつあること(=強さ)に目を向ける構えが基本となる。

「できそうなことやできつつあること」に目を向けて承認したり励ましたりする姿勢は、子どもの自己肯定感を高めたり、挑戦する意欲が湧いたりすることにつながります。

2 失敗経験が重ならないように環境整備をしたり、課題が生じたら大人が即支援し即解決したりするなどして、解決策を具体的に教えていくことが必要。

誤解しないでほしいのは、失敗経験がダメという意味ではないということです。特別支援教育では、成功体験の連続となるように子どもと共に教師も取り組む姿勢が求められています。
これは、支援対象の子どもは成功体験が少なく、主体的に活動に取り組む意欲が育っていないという実態を受け、「できる状況づくり」をすることで、やり遂げた満足感や達成感を得られるようにするための考え方です。
失敗してもその解決・対応の方法をすぐに示し、フォローすることで、次に同じような場面に遭遇した時には自分で対処しようとする主体性を高めることを目指しています。1の項目にもつながりますが、「できそう」な環境を整えてあげることも時には必要ということです。

大人が楽しく学ぶ姿

人間にとって、「学ぶ」ことは楽しいことです。

新しいことを知ったり、より深く理解したりすることで得られるワクワク感。

昨日までの自分とは違う、自分自身の成長を実感する喜び。

学ぶことで、自分が満たされるのと同時に、自分と関わる人により良く還元できることもあり、家族との関係や仕事面においてもやりがいにつながるのだと思います。

年齢に関係なく、いくつになっても大人が楽しく「学ぶ」姿を子どもたちにも見せていきたいものですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

かじたろ・小学校教諭
記事を読み、大人の在り方を考えました。小学生の多くは勉強が嫌いであり、受け身です。そうなるのは仕方がないことかもしれません。なぜなら、身近な大人である親が家で楽しそうに勉強するところを見たことがないからです。そればかりか、親は娯楽を楽しみながら、片手間に「宿題を早く終わらせなさい」と言ってきます。そんな環境で勉強を好きになどなれません。最後の見出しに
ある「大人が楽しく学ぶ姿」。どんな状況であれ、時間を捻出して、自分自身のために楽しそうに学ぶ大人の姿を毎日見ていたら、きっとその子は「学ぶ」ことを楽しめるようになっていく気がするのです。
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