我が子なのに…しんどい
私は公立小学校で働く二児の母であり、シングルマザーです。
ある日、保護者の方から朝一番にこんなお電話がありました。
「先生、もうこの子と一緒にいるの、しんどいんです。我が子のためにと思って言っても伝わらなくて。
少しの間離れようと思うんです···。今から実家に預けに行きます。」と。
このお母さんは、シングルマザーで働きながら子育ても頑張っておられました。
そして、お子さんへの愛情に溢れている方です。
「宿題しなさい!」「早く起きて!」「早く着替えて!」「ご飯食べてよ!」「お風呂入って!」って、毎日何十回も同じことを言うのに、疲れちゃったそう。
“お母さん”っていつだって子どもを真ん中に置いてるんですよね。
仕事をするときも、家事をするときも、育児をしている【今】も···。
“子どものために”を真ん中に仕事と育児を頑張っている。
でも、そうするとどんどん追い込まれちゃって、お母さんの心が潰れちゃうんです。
誰かに頼りたくても、頼れない環境だってあるんですよね。
我が子に一番願うことは?
放課後、お母さんとじっくりお話をしました。
「お母さんは、お子さんに〇〇して!とたくさん伝えている中で、一番してほしいことは何?」
そう聞くと、少し考え込んだお母さんから返ってきた言葉は、「···元気に笑っていてほしいです。···ほんとは…。」って、涙で声が震えていました。
「お母さん。それでいいじゃん!元気で笑える子でいれる声掛けだけで。」と、私は伝えました。「あとはこっちでやるよ。」と。
それが正しいのかはわからない。批判する先生だってもちろんいるでしょう。
でも、「宿題しなさい!」を、お母さんが当たり前のように家庭の中で言ってる。
少なくとも、お母さんに言わせる言葉じゃないと私は思うのですよね。
宿題のあり方への疑問
そして、宿題を【平等】に出すシステムに疑問を感じることがあります。
宿題だって【公平】でいい。
ここで言う【平等】とは、一つのものに偏ったりせず、全員が等しく与えられること。
【公平】とは個々の状況や要素を考慮し、それぞれに合わせて与えられることです。
応用問題なら楽しく宿題できる子、基礎問題なら一人でも宿題できる子、復習なら安心して宿題できる子もいますよね。
子どもの状況に応じて宿題の出し方を変えていくことも教員として大切だと感じています。
お母さんの笑顔こそ最高の育児
そして、お母さんはもっと自分を真ん中に置いて生きたっていい。
お母さんが【本当にしたいこと】を選んでいくこと。
また、お母さんが【笑顔】でいられる選択をしてくこと。
お母さんが笑顔でいられたら、間違いなく我が子も笑顔ですよね。
教員であり親である自分にできること
同じ子を持つ母として、子育てに悩む苦しさを知っているからこそ、『学校ではできません!』とか『特別扱いしません!』って撥ね退けるのではなく、お母さんと手と手を取り合い、子どものために一緒に考えていきたい。と、思うのです。
教師として、“子どもに寄り添うこと”は、“親に寄り添うこと”でもあると感じています。
【親として子どもを思う気持ち】【教師として教え子を思う気持ち】どちらも愛情があってこそ。
けれど、想いがすれ違ったり、勘違いやズレが生じることで、親と教師の間でぶつかり合う結果になる。
親と教師が、反発し合うのではなく、手と手を取り合い、子どものことを一緒に考えていける。
そんな教師と保護者の関係を築いていきたいと心から思っています。